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コラム

VR映像作品で作るべきものとは?

VRマンガを含むVR映像作品で作るべきものを考えると、「既存の実写やアニメ作品にしづらいタイプのストーリー」を検討する必要性を感じます。興味深い内容なのに、既存の方法で映像化しにくく注目されないものがあるはずで、その中の幾つかはVRで面白く出来るのではという仮説を立てています。

実写やアニメなどの既存の方法で十分楽しめるタイプのストーリーを、「没入感がある」というだけの理由でVRにしても上手くいかないです。既存の方法では面白く出来ず無視されてる作品や、既存の方法に合わせるために単純化されてしまってる表現を、VRで面白くできないでしょうか?

つまり、「複雑」「難解」「古臭い」「前衛的」などと言われて避けられている物語表現をVRで上手く表現できれば、既存の実写やアニメ作品と異なる、新しいストーリーテリングの手法としてVRを確立できるはずです。それには、マイナーでニッチとされてる分野のクリエイターが活躍するかもしれません。

実のところ、「あの超面白かったアニメを、VRで体験したい」という話はよく聞きますが、実際に体験すると大して面白くない事が多いのは、実写やアニメで既に面白いものをVRで更に面白くするのは至難の業だからなのでしょう。それより、既存の方法ではダメなものにVRでチャレンジする方が遥かに意義があります。

例えばVRマンガは、サイズの制限が無い事を活かして、マンガがアニメになるときに失われがちな、原作の線画の「重み」や「繊細さ」を伝えられるかもしれません。坂本眞一の「イノサン」(下図。2巻より)のような作品では、特に有効なはずです。これは、マンガを単純にYouTube動画にしても上手くいかないです。

「漫勉」に出ていた坂本眞一や惣領冬実の、芸術作品のようなマンガを伝えるメディアとして、既存の紙の雑誌や単行本、電子書籍、マンガ動画などは最適なのか、という疑問を投げかけるときに来ています。VRで見ることで、その真価を発揮できる作品は意外に多いのではないでしょうか。

投稿:2020/12/21

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